vol.1 オイルヒーター

「家電をなおす会」報告レポート イベント報告

2020年10月14日(水)

元エンジニアのスーパースタッフたちと一緒に家電をいじくりまわしてみる実験的なワークショップ・家電をなおす会。

今回のご相談は、2010年に購入した「Dimplex社製ハイブリッドヒーターCVP21J」の修理についてです。「3年ほど前に電源が入らなくなり、修理できる機会があるかも知れないと思ってとっておいた。」とのことです。
分解してみると配線の外れている箇所がみつかり、1時間程度で上手く修理することができました。修理した男性も「まだまだ、使えそう。」と、喜んでいらっしゃいました。

早速、修理の様子をレポートします!

作業手順

それでは、どのように修理したのかについて、詳細に紹介します。

① 症状確認
症状の出方によって、故障箇所をある程度推定できることが多いので、分解する前に実際にどのような症状なのかを確認します。たしかに、電源ランプがつかないことを確認しました。

② 分解
分解する前に、感電防止のためACケーブルのプラグをコンセントから抜いてあることを確認します。いよいよ分解なのですが、この製品は、一般の方が通常のドライバーで分解できないように、特殊ネジで組立てられています。

【写真2】特殊ネジ。

それでも、自己責任で修理するので、特殊ドライバー(T15)を使って4つのネジを外して前後のパネルに分解しました。

【写真3】特殊ドライバーで解体!

分解した装置の内部の様子を、【写真4】に示します。ACケーブルからの配線には、転倒時遮断スイッチ,2つの温度ヒューズ,タイマー,2つのオンオフスイッチ,パネルヒーター,オイルヒーターがつながっています。

【写真4】装置の内部

③ 不具合箇所の調査
さて、どこから手をつけるかですが、壊れている可能性が高くて調べるのに時間がかからない所を優先して調査を進めます。まず、電源が入らない場合に最も疑われる温度ヒューズが切れていないかを、【写真5】に示すようにテスターで確認しましたが、異常はありません。

写真5:温度ヒューズの導通チェック

次に、見てわかる故障も結構あるので、焦げやひびや外れや切断や液漏れなどの箇所がないかを探してみます。その結果、【写真6】に示すように、パネルヒータースイッチの真ん中の端子に配線するファストン端子が外れているのがみつかりました。しかも、外れたファストン端子は、隣の端子に接近して放電したようで、角の部分が黒くなっています。

【写真6】故障箇所

良く見ると写真4でも外れているのが分かりますが、このような明らかな異常でも、言われてみないとなかなか気がつきにくいものなので、細部までしっかり見ることが大切です。

④ 修理
そこで、【写真7】に示すように、外れているファストン端子を差し込みます。

【写真7】差し込み作業中

7年間使った時点でファストン端子が外れたと言うことは、何がしか外れる方向に力が働いていたからです。そこで、念のため再度外れることがないように、【写真8】に示すように差し込んだ圧着端子をラジオペンチで締め付けて、引っ張っても動かないことを確認します。

【写真8】圧着端子の締め付け

さらに、【写真9】に示すように、抜ける方向に力がかからないように周りの線と結束バンドで束ねます。結束バンドの余分な部分は、もちろん切り取ります。

【写真9】結束バンドで束ねる

⑤ 動作確認
故障の修理では、1箇所直しても連鎖的に他の部品が壊れている可能性も考えられます。そこで、不具合箇所を修理したら、完全に組み立てる前に、故障から直っていることを確認します。その結果、つくはずのランプがつかなかったのですが、転倒時遮断スイッチがあるのを忘れていました。装置を縦にしたら、【写真10】に示すように、付かなかったランプが両方とも点灯して手で触ると温かくなりました。今回は、転倒時遮断スイッチの動作も併せて確認できて良かったのですが、動作確認する前に動作条件を満たしていることを確認しておくのが普通かもしれません。

【写真10】動作確認の結果、リペア成功!

⑥ 組立
動作確認の結果が良好なので、元通りに組立ます。組立は、簡単なようで意外と落とし穴があります。【写真11】に示すように、何か挟まって隙間が空いていないかや、部品が歪んだりたわんだりしていないかや、何かが引っ掛かったり突っ張ったりしてないかなど充分留意して元通りに組立るようにします。また、組立後には、付け忘れた部品が残っていないかを確認します。

【写真11】組立

⑦ 最終確認
完全に元通りに組立てたら、最終確認のため、パネルヒーターとオイルヒーターの各々が単独で充分温かくなることを確認して修理完了です。

スタッフ・ちはるの考察

今回は、ファストン端子が抜けていましたが、ファストン端子のファストンは英語のfasten(しっかり繋ぐ)で、通常抜けるようなものではありません。工場出荷時にしっかり奥まで差し込まれていなかった製造不良が原因の可能性が高いと考えられます。

このように、部品自体にはまったく異常がなくても、外れている箇所が1箇所でもあると装置は動きません。今回のような簡単な修理でも、使えなかった装置が使えるように甦るところに、修理の楽しさや醍醐味があると思います。壊れる前の装置よりも、修理した後の装置の方により愛着が感じられるようになるのが修理かもしれません。

最後に、興味のある方のために、今回のハイブリッドヒーターの回路図を図1に示します。①の端子が外れて②の端子に放電した形跡がありました。温度ヒューズが切れていなかったのは、ラッキーでした。

ハイブリッドヒーターの回路図

次回の家電をなおす会

家電をなおす会は不定期で開催しています。「壊れて動かなくなっちゃた」とか「もっと便利に使うために、こんな機能をつけたい」とか「動きが面白いから、別のものにつくり変えたい」などなどアイデアは無限大!
そういえば、お家に使っていない家電が眠っている、なんてことありませんか?

西千葉工作室に持ち込んでご自身で手を動かして修理してみると、家電の新たな活用法を見つけられるかもしれません!
次回の開催日時&お申し込みはこちらのページからご確認ください。

(今回のレポート担当:松島)

このイベントに関わったスタッフ

松島 千治

元電子機器メーカーの先端技術の開発スペシャリストで、物理・電気・数学の応用が得意。現在は、個人投資家兼占いなどの自由研究家。機嫌の悪い日は殆どないので、何時でもお気軽に!

近藤 嘉男

ものづくりをこよなく愛する、西千葉工作室のお父さん的存在。ソニー(株)にてビデオカメラレコーダをはじめとする機器・電子楽器・ ロボットハンド等の研究開発に携わった経験から、豊富な技術と知識をもつ。

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